大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

山口地方裁判所宇部支部 昭和43年(ワ)16号 判決

主文

原告らの請求を棄却する。

訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、原告

被告らは、原告らに対し、原告がなす左記更正登記手続を承諾せよ。

(1)  別紙目録記載の(C)不動産についてなされた山口地方法務局宇部支局昭和四一年一二月一〇日受付第一七、二一〇号所有権保存登記につき、共有者金藤ツヨコ(持分七分の一)、同金藤一雄(持分七分の一)、同金藤徳治(持分七分の一)、同金藤久仁子(持分七分の一)、同金藤よしの(持分七分の一)、同金藤しづえ(持分七分の一)、同金藤完三郎(持分七分の一)、とする更正登記手続。

(2)  別紙目録記載の(A)及び(B)不動産についてなされた山口地方法務局宇部支局昭和四一年七月六日受付第九、六三四号所有権保存登記につき、共有者金藤ツヨコ(持分七分の一)、同金藤一雄(持分七分の一)、同金藤徳治(持分七分の一)、同金藤久仁子(持分七分の一)、同金藤よしの(持分七分の一)、同金藤しづえ(持分七分の一)、同金藤完三郎(持分七分の一)とする更正登記手続。

訴訟費用は、被告らの負担とする。

旨の判決並びに仮執行宣言。

二、被告

原告らの請求を棄却する。

訴訟費用は、原告らの負担とする。

第二、当事者の主張

一、原告の請求原因

(一)  被告らは、原告金藤ツヨコ、同金藤徳治の債権者として、昭和四二年一一月三〇日別紙目録記載の(A)(B)(C)三筆の不動産につき原告金藤ツヨコの(A)及び(B)不動産の持分二七分の九、(C)不動産の持分三〇分の一〇をそれぞれ仮差押した。

(二)  これより先、本件不動産(A)及び(B)につき山口地方法務局宇部支局は、山口地方裁判所宇部支部の仮差押嘱託に基き昭和四一年七月六日受付第九、六三四号をもつて原告金藤ツヨコの持分を二七分の九とし、訴外金藤(旧姓矢野)花子、同内田秀子、同金藤健一及び原告金藤一雄、同金藤徳治、同金藤久仁子、同金藤よしの、同金藤しづえ、同金藤完三郎の各持分をそれぞれ二七分の二とする所有権保存登記をした。

(三)  次に同支局は、本件不動産(C)につき原告金藤ツヨコの債権者訴外麻岡隆久の代位登記申請に基き、昭和四一年一二月一〇日受付第一七、二一〇号をもつて原告金藤ツヨコの持分を三〇分の一〇とし、訴外金藤花子、同内田秀子、同金藤健一、同西島宏及び金藤ツヨコを除くその余の前記六名の原告らの各持分をそれぞれ三〇分の二とする所有権保存登記をなした。

(四)  しかしながら本件不動産につきなされた前記三個の所有権保存登記は、原告ら七名を申立人とし、前記訴外金藤花子外三名を相手方とする山口家庭裁判所宇部支部昭和三三年(家イ)第三四号遺産分割調停事件につき、昭和三四年四月一一日成立した調停により、原告ら七名が被相続人訴外金藤滋から本件不動産を持分各七分の一宛の割合で相続した実体関係と相違し、これを正当に反映するものではないから、これが更正を求めるため原告金藤ツヨコを除くその余の原告六名から原告金藤ツヨコ及び前記四名の訴外人を被告として山口地方裁判所宇部支部に所有権保存登記更正登記手続請求事件(同裁判所昭和四二年(ワ)第一〇二号)を提起したところ、同年一一月七日原告らの請求を認容する判決の言渡があり、右判決は同年一二月一九日確定した。

(五)  ところが被告らは、右判決確定前に本件不動産につき第一項記載の仮差押をなし、右更正登記手続に対して利害関係を有するに至つたので、原告らは、被告らに対しその承諾を求める。

二、被告らの答弁

(一)  原告らの請求原因事実はすべて認める。

(二)  しかしながら原告主張の遺産分割の調停により原告らがその主張のような共有持分権を取得したとしても、未だその登記をしていない以上、その分割の結果をもつて仮差押債権者である被告らに対抗することはできない。

別紙 物件目録

(A) 宇部市中央町二丁目六参番壱参七

宅地 四四四・四弐平方メートル

(B) 同所 六参番地壱参七

家屋番号 壱壱壱弐番

居宅兼倉庫 木造瓦葺弐階建

床面積   壱階 壱六〇・弐八平方メートル

弐階 壱〇〇・六五平方メートル

(C) 宇部市中央町三丁目六四番壱六八

山林 壱参五平方メートル

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例